第三節 眞瀧村駐在所
本村ハ、從来、一関警察署直轄区域ニ属シ来リシガ、明治四十年岩手縣告示第一五二号ヲ以テ、真滝村駐在所ヲ置カレ、位置ヲ真滝村三関ト指定シ、同年四月一日ヨリ事務開始セラルルコトトナレリ。
然ルニ巡査駐在所ニ充ツベキ適當ナル建物無キヲ以テ、民家ヲ借用シテ之ニ充テタリ。
一、駐在所借上、真滝村三関三三番戸・菊池専吉宅
明治四十年四月ヨリ仝四十四年三月迄借上其後家主ニ於テ差支アルニ依リ、継続使用スル能ハサルニ付、左ノ場所ニ移セラル。
一、駐在所借上、真滝村三関三十九番戸・菊池亀治郎宅
明治四十四年四月ヨリ大正三年一月迠借上
時ニ警察事ムトシテ民家ノ傍座ヲ借上、其事務所ニ充ツルハ、萬事不便不勘ニ依リ、大正元年十月ニ於テ駐在所建築ヲ企テ、適當ノ家屋アルヲ以テ、之ヲ買上ゲ、敷地ヲ真滝村三関字白崎三番ノ真滝村有地内ト定メ、其ノ費用ハ全部村民ノ寄附ト協定シ、以テ竣工セシモノナリ。
一金壱百円也 建物買上寄附金
北建物木造平造萱葺 縦 五間
横 三間 坪数一五坪
右ノ外家屋取下運搬其ノ他要費ハ夫役現品ヲ以テ寄附セシモノナリ。
特ニ真滝消防組ニ於テハ、買上ゲ建物ノ取リ下ゲ、運搬ヨリ建築屋根萱葺等ニ至ルマデ、組員日割ニヨリテ出役シ、以テ其ノ竣工ヲ見ルニ至リシナリ。因ニ、買上建物ハ、真滝、狐禅寺、木村熈所有ノ広間ニテ不要ニ帰シタルモノ、同氏ノ好意ニヨリ譲リ受ケタルモノナリ。
真滝村駐在巡査交迭表
| 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 巡 査 |
職 名 |
| 明 治 四 三 年 十 月 四 日 |
明 治 四 三 年 六 月 二 九 日 |
明 治 四 二 年 八 月 二 四 日 |
明 治 四 二 年 四 月 七 日 |
明 治 四 一 年 六 月 一 三 日 |
明 治 四 〇 年 十 月 一 日 |
明 治 四 〇 年 四 月 一 一 日 |
詰 替 年 月 日 |
| 適 要 |
|||||||
| 小 池 慶 治 |
横 山 市 治 |
山 田 萬 治 |
佐 々 木 吉 三 郎 |
阿 部 利 惣 治 |
須 藤 穂 |
狩 野 駒 太 郎 |
氏 名 |
| 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 巡 査 |
職 名 |
|
| 大 正 五 年 三 月 一 五 日 |
大 正 三 年 十 月 一 日 |
大 正 三 年 十 月 八 日 |
大 正 三 年 七 月 四 日 |
大 正 二 年 五 月 二 八 日 |
明 治 四 五 年 二 月 一 日 |
詰 替 年 月 日 |
|
| 適 要 |
|||||||
| 河 東 田 耕 一 |
千 葉 耕 右 ェ 門 |
後 藤 広 治 |
戸 沢 盛 應 |
村 上 茂 七 |
児 玉 善 四 郎 |
氏 名 |
第四節 隔離病舎
真滝村伝染病隔離病舎ハ、明治三十八年六月十六日ヲ以テ竣工セリ。同病舎、明治十九年中岩手縣ニ於テ真滝村狐禅寺字舞台旧官倉敷地内ニ設置シアリ、後、不用ニ帰シタルタメ、消毒所ヲ無償拂下ヲ受ケ、隔離病舎敷地トテ真滝村狐禅寺字八郎沢五番宅地ヲ買上建築セシモノナリ。其ノ建物及費用左ノ如シ。
隔離病舎 二十四坪 一棟
仝同事務所 八坪 一棟
仝同便所及汚物室 四坪 一棟
仝上便所 一坪五合 一棟
右運搬及再建ニ要セシ費用左ノ如シ。
一金 五拾円也 敷地買入代
一金 弐百九円四拾壱銭八厘 運搬及ビ建築一切ノ費用
計 金弐百五拾九円四拾壱銭七厘
第五節 從前ノ役所
一、御 官 倉
維新前、田村家藩政中ニハ、穀納ノタメ一関町八幡下（現西磐井郡立実科高等女子校敷地）及本村及狐禅寺字舞台ノ二箇所ニ官倉ヲ設ケ、此所ニテ納穀ヲ取扱ヒタルモノナリ。前者ハ米ヲ納収スルタメノモノニシテ、本村狐禅寺ニアリタルモノハ豆穀ヲ納入スルタメ宝永二年設置セラレ、八木孫右ェ門（元本村助役廉平ノ先祖）、枡取リ兼倉守リタリ。
当官倉ニハ常ニ貯ヘ置クベキ倉庫ノ設置ナク、唯、納入俵装等ニ要スル建物三間ニ一五・六間ノ納入屋アリシナリ。之レ納入ヲ終レバ直チニ北上川ノ便ニヨリ石巻港ニ回漕シ、賣却シタルモノナレバナリ。
二、検 断 役
田村家藩政中、東山御領地方面ニ通ズル要路（即チ上街道）、滝沢村久城城内（今ハ九鬼ト書ス）ニ在リキ。天和二年、之レヲ置キ、維新ノ際廃セラル。
検断役ハ代々、蜂谷氏之ヲ勤ム。現本村収入役・宗三郎氏ノ祖ナリ。検断屋敷ハ同氏屋敷ヲ以テ之レニ充テタリ。今現ニ同家ニ至リ実験スル時ハ当時ノ収モ推セラレルベシ。当時ノ諸帳一切ヲ蔵メアリ。
三、村 役 所
旧藩時代ニ於テハ、別ニ村役場ノ設ケナク、肝入宅ヲ以テ之レニ充テタルコトハ、沿革中ニ記述シタルガ如シ。サレバ即チ、当時ノ村役所ハ其ノ肝入宅ナリシナリ。
四、消毒所
同所ハ、明治十九年中、東京・大阪及其附近地方等ニ寅列刺病（コレラ）流行セシ當治、該地方ヨリ廻送スル古着類、消毒ノ必要ヲ認メ、岩手縣ニ於テ、本村狐禅寺字舞台旧官倉敷地内ニ設置セラレタルモノナリシガ、其後、該病撲滅ニ帰シ、且ツ北上川通過ノ船舶昔日ノ如ク頻繁ナラザルニ至リシヲ以テ、自然不要ニ帰シタリ。故ニ明治三十八年本村ハ其ノ建物ヲ隔離病舎ニ充当スベク無償拂下ヲ受ケタリ。
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底本：「復刻 眞瀧村誌」
2003（平成15）年6月10日発行
発行者 眞瀧村誌復刻刊行委員会
代表 蜂谷艸平
2004年3月10日作成