環境問題と公共事業
3-2 ゴミ最終処分場をめぐる水循環

 少しわき道にそれますが、ゴミの最終処分場の問題について触れておきたいと思います。

 現在、ゴミの分別収集が進められ、ゴミの一部は「工業的リサイクル」の資源として一部回収されていますが、最終的には、あるものは焼却処分され、また焼却「しない」ものはそのまま、ゴミの最終処分場に埋設処理されます。清掃工場からの焼却灰、下水処理場からの汚泥も含めて埋設するゴミには重金属や生態系に有害な物質が少なからず混ざっています。
 ゴミの最終処分場の立地場所は、どちらかといえば都市部から離れた中山間地の谷あいに作られることが多いようです。これにはいくつかの原因が考えられます。
 まず第一に、ゴミ処理経費を削減するために、地価が安く、しかも地形的に大量のゴミを埋設するためには山間地の谷間は都合が良く、比較的手をかけずに=施設建設費用をかけずにすむからだと考えられます。そして第二には中山間地では、都市部に比べてゴミ処分場建設に対する住民の反対が少ないことも大きな要因だと考えられます。
 中山間地に建設されるゴミ処分場は、ゴミの埋め立てに都合が良いということは別の見方をすれば地形的に地表水の集まりやすい場所だと考えられます。埋設されたゴミに浸透した水は、ゴミに含まれる有害物質を溶解してゴミ処分場から流れ出し、地表水や地下水を汚染することになります。たとえ、ゴムシートなどで止水層を作った管理型の埋設処分場であっても、長い間には必ず汚染された水は処分場外へ流れ出していくことになります。
 ゴミ処分場の立地が河川の上流域であればそれだけ広範囲にわたって汚染が広がることになります。また、人目のつきにくい中山間地では処理業者も管理をおろそかにする可能性が高く、汚染に気付きにくくなる可能性が高いと考えられます。
 このように、現在のゴミ処理システムもまた健全な水循環を質的な意味で阻害する大きな要因になっています。


二酸化炭素地球温暖化脅威説批判 近 藤 邦 明氏 『環境問題』を考える より
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更新履歴
新規作成:Feb.9,2009
最終更新日:Mar.13,2009