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第十七章 史 跡
第一節 旧城趾
一、下要害館 在眞柴字要害
竪五拾間 横弐拾間
貞享四年書上仙臺封内古城記ニ曰ハク
一、鬼死骸城
在鬼死骸村 葛西御家住小岩伊賀守之居城 天正十八年八月設城
安永風土記
一、下要害館
右往古小岩伊賀守ト申御方御住居ト申伝書伝共、年月相知不申候事、当時ノ空濠今猶旧ノ如シ
按ズルニ天正十八年八月葛西左京太夫晴信等歿落ノ時、当城主小岩伊賀守モ互ニ合戦ニ参加シ散々ニ打破ラレテ敗走シ歿落ニ及ビ、下要害部落豪農三郎右ェ門方ニ潜伏シ居シ、後油田村盛六方ヘ移住セシナランカ
一、的場館 在眞柴字的場
竪四拾間 横弐拾間
前記下要害館ヲ距ル僅カ四町余 此城主下要害城主ニ同ジ
両城趾今ハ山林トナリ、前者ハ熊谷良治、後者ハ千葉周助ノ所有地タリ
一、白崎城 在三関字白崎
東西二十間 南北三十間
貞享四年書上仙臺封内古城記ニ曰ハク
一、三関城
在三関村 天正年中葛西家住千葉内膳平胤妙住居 天正十八年八月歿落（千葉五郎三郎トモ記シアリ）
関邑畧誌ニ曰ハク
天正年中、葛西麾下千葉内膳平胤妙居古城記ニハ、左ニ千葉五郎三郎トアリ 案ズルニ葛西家譜ニ天正十九年八月十四日小野寺道照、千葉胤妙共ニ桃生郡深谷糠塚山ノ役ニ歿ス 其ノ法謚ニ曰ク
眞原院殿道永照鑑大居士 道照 六十九
正覺院殿過陰道陽大居士 胤妙 四十八
城趾今ハ開墾セラレテ畑地トナリ熊谷寅治ノ所有ナリ
小野寺道照ハ一関高崎城主ナリ
一、牧澤城 在眞柴牧澤字細田
東西八間 南北八十六間
貞享四年書上仙臺封内古城記ニ曰ハク
一、牧澤城
在牧澤村 葛西御家住細谷近江平師胤居住ス 天正十八年八月歿落 翌十九年八月桃生郡深谷ニテ殞命 年五十三才
法号高性院殿前江州本了念大居士
安永風土記
一、内野目館
往古細谷近江ト申御方御住居ノ由申伝候処 由来年代共ニ相知不申候事
城趾ハ今ハ山林トナリ小野寺勉ノ所有ナリ
一、狐禅寺城 在狐禅寺字大平
東西十四間 南北十間
貞享四年書上仙臺封内古城記
一、狐禅寺城
天正年中、葛西侍新柵太郎左ェ門種次ノ古城、又葛西小新作トモイフ
安永風土記
一、古館 壱ヶ所
本丸 竪八間 横八間
二ノ丸 竪二十五間 横八間
右城主葛西家中新柵太郎左ェ門種次ト申人御住居ノ由申伝ヘ候ヘ共、年月相知不申候事
今ハ山林トナリ、小野寺金治郎所有タリ
一、滝澤城（蜂谷館・在滝澤字館下）
東西十四間 南北十間 二ノ丸不詳
貞享四年書上仙臺封内古城記
一、滝沢城
在滝沢村 天正年中、蜂谷隠岐守亦滝澤三郎左衛門居城トイフ 佐々木安藝守納城趾
今ハ開墾セラレテ畑地トナリ、蜂谷長平所有タリ
一、古館 滝沢
本丸ノ高サ三十三間、長サ四十間、横十二間二ノ丸高サ十五間、東西二十八間、南北百二十間
小林掃門頭ノ居城 年月不詳 永禄ノ頃ハ蜂谷隠岐ノ居館タリシガ、天正年中滝沢城（蜂谷館）ニ移ルト云フ
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参考 元号と西暦の対応
永禄：元年（一五五八年二月二八日）～十三年（一五七〇年四月二十二日）正親町天皇
天正：元年（一五七三年七月二八日）～二十年（一五九二年十二月七日）正親町天皇、後陽成天皇
貞享：元年（一六八四年二月二一日）～五年（一六八八年九月二九日）霊元天皇、東山天皇
安永：元年（一七七二年一一月一六日）～十年（一七八一年四月一日）後桃園天皇、光格天皇
底本：「復刻 眞瀧村誌」
２００３（平成１５）年６月１０日発行
発行者 眞瀧村誌復刻刊行委員会
代表 蜂谷艸平
２００４年３月１０日作成